私たちの雪 ジャーニー - スパ&ウェルネス業界のベテラン、六花スパ創業者 相馬順子 氏へのインタビュー

  • 文 Tsuyuki

私たちの雪(セツ) ジャーニー  -  スパ&ウェルネス業界のベテラン、六花(リッカ)スパ創業者 相馬順子氏へのインタビュー

今週は、20年以上の経験を持つ相馬順子(よりこ)さんにお話を伺いました。相馬さんは、日本のウェルネス業界のパイオニアであり、スパコンサルタント会社であるコンセプトアジア社の共同設立者兼代表取締役です。 ボストンコンサルテインググループでの経験をつんだあと、フランスのビジネススクール・INSEADの同級生と起業をした会社で、多くの著名ブランドスパの開業に携わってきました。マンダラスパ、マンダリンオリエンタル東京スパ、シャングリ・ラ東京、ウィンザーホテル、ロッテホテルグループ、東京パレスホテルのエビアンスパ、そしてホテルオークラ東京、数多くのトップスパの開業を支援してきました。また、米国のスパファインダーと共同出資で、スパファインダー・ジャパンを設立、日本のスパ業界において数多くの実績を残しています。 書籍「J-Wellness 2020」の著者であり、著名国際会議である「グローバルウェルネスサミット(GWS)」では2017年からアジアから初のボードメンバーとして会議の運営に参画。2019年にシンガポールで開催されたGWS会議では、共同議長もつとめました。雪(セツ)ニセコでも、コンセプトアジアがラピデム東京がつくった六花スパのコンセプトをもとに、美しいスパを開業し、また、開業以来運営に携わっています。  

20年以上の経験を持つ、スパ業界のパイオニアであると伺っていますが、ご自身について教えてください。

最初のキャリアは、ボストンコンサルティンググループという米国の戦略コンサルタント会社にコンサルタントとして赴任したところから始まります。勤務地はアジアの統括本部がおかれている香港でした。その後起業をしたのですが、米国のスパファインダー社に出資をして、アジアでのスパ事業に足を踏み入れたのが2007年です。多くのスパ施設を日本、アジアだけでなく、米国やロシアにも 開業させてきました。その中で、ウエルネス業界のリーダー的な存在である、Global Wellness Summitの代表(Delegate)として2007年から活動をしていたのですが、2016年からボードメンバーに選出され、いまはスパだけでなくウエルネス全体の業界や啓蒙に力をいれています。

コンセプトアジアについて、またどのように会社がスタートしたのか教えてください。

Conceptasiaはシンガポールの女性 Suzanne Ngと立ち上げた会社です。もともとSuzanneが、スパのエキスパートでした。彼女とはフランスのビジネススクールのINSEADで同級生として知り合いました。私たちが創 るスパは、調査や聞き取りをしっかりしたうえでプロジェクションを作成したうえで造られます。それは私たちが出会ったきっかけとなったのが、ビジネススクールであったことも関係しているのかもしれません。Conceptasiaはスパのコンサルタントから出発した会社ですが、Corporate Wellness(企業のためのウエルネス)、ウエルネスやヘルスケア―ビジネスへの投資、そして今回のようにスパのオペレーションを請け負うというように、事業も多岐にわたってきました。

日本初のリゾート・デスティネーション・スパの立ち上げに携わったと聞きましたが、それについても教えてください。

私たちが最初に手掛けたのは、広大な土地を持つ温泉旅館(白石蔵王)をSpaや温泉を楽しむためのDestination Spa (Onsen Ryokan)に開発した案件が、Destination Spaとして当てはまるかと思います。

もちろん、それまでも東京以外でホテルのスパを造り上げてはきましたが、温泉という最大のウエルネス・キー・コンテンツをいかしたDestination Spaは、白石蔵王の竹泉荘が初めてかもしれません。

温泉旅行自体、Destination Spaだと思っています。温泉に入り、2食の和食をたべ、ゆっくりと身体を暖めておふとんにくるまって眠る。日本人が健康を維持するため、そして病気やけがを癒すために長い歴史で培ってきた休暇の取り方です。竹泉荘では、海外のお客様を50%は想定してもらいたい、というオーナーのお言葉をいただき、日本の古い形の旅館から、世界のウエルネストラベラーにとって居心地の良い空間に造り変えました。チェックインラウンジでは、シャンパンをのみながら生の演奏を聴く。食事は、バーカウンターで少しゆっくりしてもらってからテーブル席(特にプライバシーを考慮した)で召し上がっていただく。温泉は宿泊客ならだれでも使える温浴と、貸切にできるプライベート温泉、そしていくつかのスパスイートには、ベランダに露天風呂とスパマッサージができるベッドを置けるスペースを設けました。

何がよいスパを作るのでしょうか?

スパで一番大事なこと は、その土地のもの、そして季節のものをいかに取り入れるかだと思います。そしてもちろんそれらをサービスするセラピストの育成にかかっています。私たちがセラピストを選ぶためのトレードテストをする際には、そのセラピストの手のひらの暖かさと、心の暖かさを常にみるようにしています。スパは心地の良い空間と結局はそこで働く人がつくるものなのですから。

海外ではどのようなスパがお好きですか?

私が好きなスパはスイス、レマン湖のほとりにあるフェアモント・ル・モントルーのスパです。本当にリラックスできます。そして好きなデスティネーション・スパはタイのカマラヤリゾートかな。プログラムがとても私に合っていると思いました。

また、すべてのスパプロジェクトに導入している個人的な哲学はありますか?

私たちが大事にしていることは、まずホテルのつくり手の気持ちです。どのようなホテルを目指しているのか?お客様にはどのような人に来ていただきたいのか?コンセプトは?そのうえで、これらのターゲットに対して徹底的な聞き取り調査をいたします。グループインタビューやデプスインタビューという手法です。その上でスパのプロジェクトを進めていくのです。私が持つ哲学としては、スパはだれのためにつくられるのか?という点を大事にしたいというところです。

六花スパはコンセプトアジ アとラピデム東京のコラボレーションで生まれましたが、雪(セツ)のゲストにどのようなスパ体験を提供することを目指しているのでしょうか?

Lapidemは日本発の化粧品を提供している会社で、スパのコンセプトは自然との共生、そしてその土地に合ったものを取り入れるという、非常に共感ができるプログラムを持っております。六花スパは、まず北海道やニセコの土地のものをいかしたハーブやトリートメントを提供させていただき、心ゆくまで大地と一緒に穏やかな時間を過ごしていただける場所にしていきたいと思っています。

グローバル・ウェルネス・サミットに深く関わっておられるとのことですが、この業界で最もエキサイティングな変化は何でしょうか?

私がGlobal Wellness Summitのボードメンバーを務めて7年目になります。アジアで最初にボードメンバーに抜擢していただくという栄誉をいただきました。また2019年にはシンガポールの会議では、700名以上の世界各国のウエルネス・ヘルスケア―業界の第一人者が集まる会議で、共同議長を務めさせていただきました。ウエルネス業界は世界各地で大きく市場を伸ばしており、いまや住居や職場にも多くのウエルネス空間やウェルビーイングな活動が紹介されています。米国や日本ではウエルネスを意識したホテルやレジデント(住居)の建設やプロジェクトが相次いで発表されています。

また、ニセコでの六花スパのオープンにあたり、最も期待されていることは何でしょうか?

ニセコでウエルネスフロアーと連動させたスパがオープンするのは、初めてではないでしょうか?スパはいままでエステの延長くらいに思われていたようですが、ヨガやフィットネス、温泉といった施設の中に六花スパが造られたことに、とても気持ちが高揚しています。これからはウエルネスのいろいろなプログラムもご紹介していけるのではないでしょうか?

ニセコの魅力は何だと思いますか?ニセコでお気に入りの場所や好きなところはどこですか?

ニセコは小学生のころから、最も好きなスキー場のひとつでした。雪質がよくて、滑りやすいゲレンデがあるからです。最近ニセコをさらに好きになったのは、スパのオープニングでひと夏この地に滞在してからです。ニセコの夏は、今まで知らなかったようなアクティビティが満載で、充実した夏をすごすことができました。また、レストランもかなりグレードが高く多様化 していると思います。雪・ニセコのホテルのオープン前だったので、ルピシアにはほぼ毎日通っていました。

六花スパで一番好きなスパトリートメントは何ですか?

どれもよいのですが、私はホットストーンが好きです。この冬六花スパの一番の人気メニューはウエルネスリチュアルでした。

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