「雪ニセコの旅」第 4 弾 - モク ウェイウェイ氏インタビュー

  • 文 Sirada

建築家として高い評価を受け、受賞歴のある建築家 W-Architectsのマネージングディレクターであるモク ウェイウェイ(Mok Wei Wei)氏に、雪ニセコのデザインと建築の背景についてお話を伺いながら、雪ニセコの旅の建築の旅を続けましょう。「シンガポールの現代モダニズムの第一人者の一人」と呼ばれる、モク ウェイウェイ氏は、20年近くSCグローバルと共にThre3e Thre3 Robin (Three Three Robin)、 Hilltops、 The Five Legends of Mountbattenといったシンガポールで有名なプロジェクトを作り上げてきました。世界の建築家Top100にも選ばれ、2002年Presidents Design Awardを受賞した彼の作品は多くの地域で国際的な出版物で紹介されています。

雪ニセコのプロジェクトではどのようなビジョンがありましたか?

シンガポールとその熱帯的な感性をスキーリゾートの町で表現することでした。

SCグローバルから北海道での初海外プロジェクトの依頼をされたときは驚かれましたか?

もちろん!すごく驚きました!

私たちの事務所はシンガポールの開発におけるニッチ市場に焦点をあてていましたので、海外市場に拡大するつもりはありませんでした。しかし、長年SCグローバルと協力して仕事を続けてきた私にとって、プロジェクトがどこの地域であっても、SCグローバルがそのトレードマークである高品質でその名を残すことに確信がありましたので、私はためらうことなく、その依頼を受け入れました。

雪ニセコのデザインについて詳しく教えてください。

雪ニセコは、ニセコで見られる通常の建築から根本的に逸脱したスタイルをとっています。敷地を囲うように建物を配置し、その中央に空を望む開放的な中庭を造るという清々しさを感じさせるコンセプトを展開しています。

外側に向けて広くパノラマを確保し、内側に緻密な中庭の景色を望むという対照的な性質を各客室に最大限に反映しています。雪ニセコは素晴らしい2つの山々に囲まれ、その建物の形状はグランヒラフのエリア内でも卓越した存在感を持っています。

木材の存在感を生かしたバルコニー、突き出したボリュームが印象的な窓、これら独特の外観によってその存在感を高めています。格子模様を思わせるその外観は、建物の側にある交差点側が最も強調され、交差点から奥に向かうにつれボリュームを抑えデザインに強弱をつけています。この突き出したデザインは、和室付きの一部の部屋タイプやテラス付きの部屋タイプに空中に浮いた空間のイメージを具現化しています。客室からは羊蹄山や、アンヌプリ、美しく手入れされた中庭の素晴らしいパノラマを望むことができるように、大きな窓が効果的に配置されています。

あなたの作品は熱帯地域での建築でよく知られていますが、このスキーリゾートでのプロジェクトの設計で直面された課題などはありましたか?

一般的なホテルにみられる廊下のスペースは、特に不動産として分譲も行う「コンドミニアムホテル」においては、非常に無駄になる可能性があることに気づき、廊下のスペースを最小限に抑える必要がありました。熱帯的空間と床面積の効率性を重要視している私は、シンガポールの低層マンションでよく見られるコンセプトである、エレベーターを建物の中心とし、ブロックごとの建物にするというアイディアが浮かびました。

建物は4つのブロックに分割され、各ブロックのエレベーターを中心にその周りに部屋を設計することで、長い廊下が不要になります。これにより、エレベーターを中心に集まった部屋は親密性があると同時に、独占的な感覚が生まれます。

雪ニセコで気に入っているポイントはどこですか?

中央の中庭は建物の開発において中心部となり、静かで風光明媚な空間を導入しているので、非常に特別なポイントです。外に広がる大自然の山岳風景は、人によって繊細に作り出された中庭の景色によってさらに磨かれます。

客室からの眺望に自然の山々とは対照的な、手入れの行き届いた木々、地元の季節の花を段々に重ねた風景、そして季節の移り変わりの美しさを捉える水面の景色を中庭から提供することで、空間が更に生かされていきます。滞在する人々がくつろげる静かな屋外スペースが、雪ニセコならではの魅力的な体験につながることを願っています。

建築家になることは子供のころからの夢だったのでしょうか?

進路を決める際、中国文学を教えるか、創造的な分野でのキャリアを追及するかの選択で悩みました。合理的な側面と非合理的な側面のバランスが取れた考え方、心構えが好きなので、建築はそのどちらにも満足感を与えてくれるものだと思い選択しました。

尊敬している建築家はいらっしゃいますか?

私が尊敬している人は沢山います。その中で最も尊敬しているのは、進化と探求に満ちた長い創造的なキャリアを維持している人たちです。

一日の中で最高と感じる瞬間はどのような時ですか?

一日の仕事を終えて、ひとりで夜の散歩に出かける時間が気に入っています。自分の考えを明確に整理できる時間であると同時に、身体を若返らせることができる時間でもあります。

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